2010-12-12から1日間の記事一覧

エデンの東('54)  エリア・カザン <「自我のルーツを必死に求める者」の彷徨の果てに>

簡潔に言えばば、こういうことである。 「自我のルーツを必死に求める者」と、「その自我のルーツを、幻想の中で丸ごと受容してきた者」、そして、「自我のルーツへのアプローチを塞いでしまった者」。 約(つづ)めて言えば、この三人の物語である。 前二者…

英雄の戦後史

英雄を必要とする国は不幸である、と言った劇作家がいた。英雄を必要とするのは、国家が危機であるからだ。しかし国家が危機になっても、英雄が出現しない国はもっと不幸である。なぜなら、英雄が出現しないほどに国民が危機になっているからだ。 英雄を必要…