2011-01-21から1日間の記事一覧

「連合赤軍」という闇 ― 自我を裂き、削り抜いた「箱庭の恐怖」  補論

補論 「権力関係の陥穽」 人間の問題で最も厄介な問題の一つは、権力関係の問題である。権力関係はどこにでも発生し、見えない所で人々を動かしているから厄介なのである。 権力関係とは、極めて持続性を持った支配・服従の心理的関係でもある。この関係は、…

「連合赤軍」という闇 ― 自我を裂き、削り抜いた「箱庭の恐怖」  5

5.魔境に搦め捕られた男の「自己総括」 稿の最後に、「連合赤軍」という闇を作り上げた男についてのエピソードを、ついでに記しておく。永田洋子と共に、仲間が集合しているだろう妙義山中(写真)の洞窟に踏み入って行った森恒夫は、そこに散乱したアジト…

「連合赤軍」という闇 ― 自我を裂き、削り抜いた「箱庭の恐怖」  4

4.恐怖越えの先に待つ世界 しかし兵士たちの山越えは、兵士たちの運命を分けていく。 時間を奪還できずに捕縛される者と、銃撃戦という絶望的だが、せめてそれがあることによって、失いかけた「革命戦士」の物語を奪還できる望みがある者との差は、単に運…

達磨はなぜ東へ行ったのか('89) ペ・ヨンギュン  <勝ち過ぎた観念によって削られた映像構築力>

一人の青年がいる。 彼は自分の人生の方向が定まらず、懊悩していた。魂の自由への渇望もあった。 彼の名はギボン。 その魂の自由への飛翔を束縛すると感受させるのは、盲目の母と妹への扶養意識の精神的負担感だった。 ギボンは間もなく、盲目の母と妹を、…