2011-05-21から1日間の記事一覧

Love Letter(‘95) 岩井俊二 <「グリーフワーク」という基幹テーマの内に、べったりと添えられた「感動譚」の洪水>

どう考えても、本作のテーマは、ヒロインである渡辺博子の人格を深々と呪縛する自我に張り付く原因子を、「グリーフワーク」に向けてソフトランディングさせていくプロセスと、その克服と再生を描くもの。 それは、以下のエピソードによって判然とするだろう…

オール・アバウト・マイ・マザー('98) ペドロ・アルモドバル <「自己解放の旅」に収斂させた「グリーフワークの旅」の内実>

1 グリーフワークの軟着点を予約させる風景の中へ 「B・デイビス(注1)、G・ローランズ、R・シュナイダー 女優を演じた女優たち。全ての演じた女優たち。女になった男たち。母になりたい人々。そして、私の母に捧げる」 これが、エンドロールで重なっ…