2011-12-25から1日間の記事一覧

インド行きの船('47) イングマール・ベルイマン <大いなる旅立ちに向かう身体疾駆の内的必然性>

1 「顔を強張らせて、怖い目」を身体表現する、父と子の歪んだ関係 ベルイマン映像の初期の到達点と言える「不良少女モニカ」(1953年製作)に比較すれば、映像の完成度は必ずしも高くない。 だから、そこから受ける感動もフラットなものでしかなかった…

不良少女モニカ('53)   イングマール・ベルイマン <自我の未成熟な女の変わらなさを描き切った圧倒的な凄味>

1 「青春の海」の求心力 ―― プロットライン① 陶磁器配達の仕事に追われる一人の若者がいる。 彼の名は、ハリー。 彼は奔放な我がまま娘と出会うことで、その生活に変化を来たしていく。 彼女の名は、モニカ。このとき、17歳だった。 純粋な青年、ハリーと…

夏の夜は三たび微笑む('55) イングマール・ベルイマン <「非本来的な関係」の様態がシャッフルされたとき>

1 「夏の夜の三度目の微笑よ」 ―― 物語の梗概 「自分の家が、時々、幼稚園に思える」 こんなことを吐露するフレデリック・エーゲルマンは、中年弁護士で、現在19歳の若妻アンとセックスなき生活の代償に、かつての恋人で、女優のデジレへの思いが捨て切れ…