2012-02-10から1日間の記事一覧

武蔵野冬景色

ここには収められていないが、奥武蔵野の山々、とりわけ、顔振峠や高山不動の稜線からの夕景の写真を撮るために、最寄りの大泉学園駅から吾野まで通った日々が懐かしく思い出される。 冬の日没は早いので、遅くとも午後4時頃までには、見晴らしの良い稜線…

風景への旅(花紀行)

ここでは、青梅にある吉野梅郷と、「アジサイ寺」として名高い松戸本土寺が、私の最も愛着の深いビュースポット。 紅梅の多い吉野梅郷は、字義通りの「桃源郷」と言っていい。 最盛期には、殆ど信じ難き美しさを見せるので、毎年のように通ったものである。 …

武蔵野・四季の花

それは、殆ど唐突に湧き起こってきた素朴な観念だった。 東京下町で生まれ、育ち、青年期に練馬で生活するようになった私にとって、「東京」という大都市に対する愛着の念が希薄であるように感じたのである。 大体、新宿・渋谷・池袋・銀座、等々という繁華…

三宝寺池の四季

「武蔵野三大湧水地のひとつ。江戸時代には、いかなる日照りにも涸れないといわれ、昭和30年代頃までは、真冬でも池面が凍らない『不凍池』として知られていました。しかし、かつての豊富な湧水も、周辺の市街化など環境の変化により、現在では見ることは…

煙突の見える場所('53)  五所平之助  <特定的状況が開いた特定的人格の特定的切り取り>

その家は、大雨が降ると浸水する危険性と隣り合わせの古い家屋だった。 主人公の名は、緒方隆吉。日本橋の足袋問屋に勤める中年のサラシーマンである。その妻、弘子は戦災未亡人で、緒方とは再婚の夫婦の関係を、今のところ取りあえず問題なく営んでいる。二…