2012-02-13から1日間の記事一覧

ニキータ('90)  リュック・ベッソン <「炸裂するヒロイン」の「非抑制的・非内面的ワールド」から、「抑制的・内面的ワールド」の「内的表現」を身体的に繋ぐ変容の物語>

1 「絶対状況」に捕捉された「炸裂するヒロイン」の究極の〈生〉の転がし方 個人的には思い入れの少ない、この作り手の作品の中で、受容できる殆ど唯一と言える作品だが、客観的に評価すれば、存分なまでの「映画の嘘」の「自在性利得」の中で、物語構成力…

レオン 完全版('94)  リュック・ベッソン <「静」によって支配される「動」が炸裂するとき>

1 復讐劇の時間の中へ ニューヨークのリトル・イタリーに住む、ウオッチキャップ(米国海軍の水兵が防寒用に被ったニット製の帽子)を冠る、一人のイタリア人。 ファーストシーンでの、殺しの描写の緊迫感の導入は見事。 これで、観る者を一気に映像に惹き…

グレート・ブルー 国際版('88)  リュック・ベッソン  <「マリンブルー」の支配力だけが弾ける世界の、単純な映像構成の瑕疵>

1 「純粋」、「無垢」、「超俗」、「寡黙」、「非文明」、そして「『聖なるもの』としてのイルカへの至上の愛」 「錦鯉の外見美を守るために、平気で水生昆虫を食べさせる環境擁護論も可笑しいが、『ハエや蚊のいない、トンボや蝶の舞う町づくり』をアピー…

いつか晴れた日に('95) アン・リー <「ラストシーンのサプライズ」によって壊された映像の均衡感>

1 「ラストシーンのサプライズ」によって壊された映像の均衡感 「ラストシーンのサプライズ」に象徴されるように、観る者の感動をビジネス戦略で包括する、ハリウッド系ムービーの狡猾さがここでも露わになっていて、本作を「名画」と呼ぶには相当気が引け…