2013-11-17から1日間の記事一覧

U・ボート(‘81) ウォルフガング・ペーターゼン <奇蹟の生還から、壮絶なラストシーンへの反転的悲劇のうちに閉じる映像の力技>

1 全身全霊を賭して動く人間の裸形の様態を描き切った大傑作 本作は、「戦場のリアリズム」が開いた極限状況の中で、不安に怯え、恐怖に慄きながらも、それでも、生還せんと全身全霊を賭して動いていく以外にない人間の裸形の様態を描き切った大傑作である…

キリング・フィールド('84) ローランド・ジョフィ  <「異文化を繋ぐ友情」 ―― 或いは「現代史が膨らませた負の遺産」>

序 実録映画に対する評価の難しさ この映画ほど、実録映画に対する評価の難しさについて痛感した作品はない。私は基本的にどのような映画作品も、そこに如何なる原作を下敷きにした作品であったにしても、その原作とは無縁に創作された表現作品として、それ…

鉄道員(ぽっぽや/'99) 降幡康男 <聖者の大行進>

「鉄道員」は、感動を意識させた原作と、同じく感動を意識させた映像が結合し、私には些か厭味な映画になった。 映画はとても良くできている。 完成度もそれなりに高いので、日本アカデミー賞を総舐めにした理由も納得できなくはない。 しかし、それらが却っ…