2013-11-24から1日間の記事一覧

ジャッカルの日(‘73) フレッド・ジンネマン <「仕事」の頓挫が約束された疑似リアルの物語の途轍もない訴求力>

1 完璧な映画の、完璧な構成の、完璧な構築力 完璧な映画の、完璧な構成の、完璧な構築力。 長尺なのに飽きさせないのは、殆ど無駄な描写が削り取られているからだ。 完璧なプロなのに、最も肝心なところで認知ミスを犯してしまう。 完璧なプロもまた、人間…

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(‘11) フィリダ・ロイド<「正しいと信じ切る能力の強さ」を具現化していった代償としての、支払ったものの大きさ>

1 「差別の前線」での「たった一人の闘争」を必至にする、「鉄の女」の誕生秘話 多様な経験の累加によって、自らの感情・行動傾向が継続力を持つ、構造化された安定的な認知に関わる確信幻想 ―― これを、私は「信念」と呼ぶ。 一切が幻想であると考える私に…

劒岳 点の記('09)  木村大作 <「仲間」=「和」の精神という中枢理念への浄化の映像の力技>

序 「誰かが行かねば、道はできない」 ―― 本作の梗概 「誰かが行かねば、道はできない。日本地図完成のために命を賭けた男たちの記録」 この見事なキャッチコピーで銘打った本作の梗概を、公式サイトから引用してみる。 「日露戦争後の明治39年、陸軍は国…