2013-12-21から1日間の記事一覧

大いなる西部(‘58)  ウィリアム・ワイラー <西部劇という名の、二つの「攻撃的正義」の虚しい争いの様態を描き切った一級の名画>

1 強いメッセージ性を内包する名画 「大いなる西部」は、ニューシネマ以前に作られた西部劇の中で、フレッド・ジンネマン監督の「真昼の決闘」(1952年製作)と双璧を成すほどに、強いメッセージ性を内包する名画である、と私は考えている。 「西部劇」…

カティンの森('07) アンジェイ・ワイダ <乾いた森の「大量虐殺のリアリズム」>

1 オープニングシーンンで映像提示された構図の悲劇的極点 「私はどこの国にいるの?」 これは、説明的描写を限りなくカットして構築した、この群集劇の中でで拾われている多くのエピソードを貫流する、基幹テーマと言っていい最も重要な言葉である。 この…

小さな恋のメロディ('71)   ワリス・フセイン <「秩序破壊」の向こうにある「お伽噺の世界」への〈状況脱出〉>

1 「秩序破壊」のメッセージを持った「子供共和国」=「お子様映画」 爆弾マニアの少年が投擲した自動車爆破に象徴されるように、如何にも70年代初頭の映画らしく、「秩序破壊」のメッセージを持った「子供共和国」=「お子様映画」の典型的一篇。 「大人…