2014-03-16から1日間の記事一覧

バベットの晩餐会(‘87) ガブリエル・アクセル <「12人の使徒」に贈る、「最初にして、最後の晩餐」という極上の「お伽噺」>

1 「12人の使徒」に贈る、「最初にして、最後の晩餐」という極上の「お伽噺」 この映画は、粗食を旨とせざるを得ない共同体の内実が、いつしか劣化させていた「信仰」と「共食」の文化の日常性を、唐突に侵入してきた非日常の「美食」の文化が1回的に、…

いつか晴れた日に('95) アン・リー <「ラストシーンのサプライズ」によって壊された映像の均衡感>

1 「ラストシーンのサプライズ」によって壊された映像の均衡感 「ラストシーンのサプライズ」に象徴されるように、観る者の感動をビジネス戦略で包括する、ハリウッド系ムービーの狡猾さがここでも露わになっていて、本作を「名画」と呼ぶには相当気が引け…

名画短感⑤ プレイス・イン・ザ・ハート('84) ロバート・ベント監督

観る者の感動を狙っただけの映画が氾濫する情緒過多なる時代のとば口に、かくも堅実で良質なヒューマンドラマがあったことを確認させられる一篇。 主演を演じたサリー・フィールドと、ジョン・マルコヴィッチの冴えた演技が映像的感性を濃密にしていて、最後…