2014-07-29から1日間の記事一覧

近代とは時間の革命だった

かつて人々は、黄昏の空に一日の活動の終焉を読み取り、暗黒に近い長い夜の時間を恐れ、為す術がなく眠りに就いた。 夜と昼は黄昏の空によって切れていて、それは決して地続きになってはならない、二つの別々の世界であった。 子供たちを畏怖させる怪談話が…

まだ壊れていない器に潜む頼りない力 ―― 「氷河が来るまでに」:その心の風景の壮絶さ」

深酒に頼らざるを得ない、不眠の日々を送る男を主人公にした小説がある。 森内俊雄の「氷河が来るまでに」(河出書房新社刊)である。 この小説を、私は二度読んだ。 現代文学の中で、私は、底知れぬほど苦脳する男の心の風景を描いた小説を、最も愛好する。…