2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「舟を編む」(2013年製作)に次ぐ石井裕也監督の本篇は、現代家族の問題に真っ向勝負した、シリアス系の切れ味鋭い傑作に仕上がっていて、絶賛したい。 本篇でも、全く無駄な描写がないからテンポも良く、いつものように感傷を引き摺らず、観ていて感嘆…
1 「どん底」の生活に縛られ続けている女と、心的外傷を負った男の曲線的交錯 突き詰めて選(え)りすぐった、カットの集積が構築した映像のパワーの凄み。 プロの俳優の圧巻の演技力が、殆ど完璧に、水底に接するぎりぎりの底層に呼吸を繋ぐ女と、その女へ…
1 「知りたくないと思ったら、見ぬ振りする」女の厄介な感情ライン これは、殆ど心理学の世界である。 それも、ほぼ完璧な構築力で、シビアなドラマを描き切った心理学の世界である。 だから、心理学的アプローチなしに書き逃げできない評論となった。 それ…
1 「非在」の形象的人物と同居しつつ、公園散策の美女を撮る若者の変動の振れ幅 黄葉が目に眩しい代々木公園で、「家族写真」を撮っている若者がいる。 カメラマン志望の大学生の光司である。 その光司のファインダーに、今、ベビーカーを引いている一人の…
1 「私たちは“思考”をこう考えます。自分自身との静かな対話だと」 「抑留キャンプから逃げた時、褒めてくれたわね。多くはキャンプで夫を待ち続けて、逃げそびれた。すぐに助かるって、希望を持ってたわ。だけど待ちくたびれて、女たちは無頓着になり、体…