2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧
1 ひしと伝わってくる繊細な人間の感情を描く描写の繋がり 「古き良き日本」の純愛譚を貫く者の眩さ。 この時代に、このような人物もいて、そうでない人物もいた。 この映画は、前者を特化して描いた作品である。 そこに、私は特段の違和感を覚えない。 ベ…
1 絶望的な叫びに変換され、理不尽な世界に堕ちていった男の無念さ 享保(きょうほう)20年。 山陰・因幡藩(モデルは鳥取藩)でのこと。 「三年前の飢饉から、ようやく立ち直った矢先に、御公儀の無理難題。更に此度(このたび)のことを・・・頭の痛いこと…
1 「底なしの沼に飛び込み、自分の魂の奥から、何かをさらい出す。魂を探る旅は苦痛を伴う旅だ」 コーエン兄弟の個性的な作品群の中から最高傑作を選ぶとするなら、私は躊躇なく、この「バートンフィンク」という稀有な逸品を選ぶだろう。 繰り返し観ても、…
1 「ムショは、もういやだ。あの服役で懲りた」 とかく暴走しやすい主題を、一人の黒人の生活風景のうちにシンプルに特化した構成力によって均衡を保持した、インディーズムービーの傑作。 ―― 以下、梗概。 フルートベール駅。 2009年元旦に、その事件…