2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「川崎殺傷事件」 ―― それを囲繞する空疎な風景への苛立たしさ

1 「自分一人で死ね」派の激発的情動言辞の風景 ―― その情報爆轟の「疑似ロゴス」 「この事件を見てる日本中の子供を持った親御さんは、どうやって子供を守ったらいいと、ただただ恐怖なだけで防ぎようがない。いつどこで何が起こるかわからない。一人の頭…

私たちはいつだって愚かであり、不完全である

1 人格総体を差配する自我の資源は枯渇する 「人間の愚かさの本質」について言及する。 目覚しい学問的発展を遂げている生物学の現状だが、生命現象のメカニズムの解明については、一貫して、説明不明瞭さを克服すべき課題になっている。 数理的手法を用い…

<「我々だけが正義である」という、「絶対正義」の心地良き「物語」>

1 「絶え間ない悲鳴に、耳を貸さぬ我々がいる」 ナチスの台頭で米国に亡命し、その後、東独に生活の拠点を設け、東独の国歌をも作曲したユダヤ人、ハンス・アイスラーが作曲した、詩的でありながら、時には軽快で、淀みのないBGMに押し出されるように、…

「万世一系」という究極の「物語」

1 「ヤマト王権」の天皇像 ―― 「記紀」の「物語性」・「文学性」のインテンシティ 古くは「すめらき」・「すめらぎ」と呼ばれ、また、日常語に近い「大王」(おおきみ)か、儀礼的な意味を持つ「スメラミコト」とも呼ばれていた「天皇」という用語が、一般…