#その他文化活動

「皇室草創」 ―― 両陛下が、今、思いの丈を込めて始動する

1 「人生脚本」を革命的に「再定義」した魂が打ち震えていた 有能な親から、有能な子供が生まれる。 必ずしも当たっているとは言えないが、教育熱心な分だけ、「オーバーケア」(過保護)の性向を否定できないが、子供の自立性を剝奪(はくだつ)する「過干…

心の風景「『覚悟の一撃』 ―― 人生論」より

突入するにも覚悟がいるが、突入しない人生の覚悟というのもある。覚悟なき者は、何をやってもやらなくても、既に決定的なところで負けている。その精神が必要であると括った者が、それを必要とするに足る時間の分だけ、自らを鼓舞し続けるために、「逃避拒…

「時間」の心理学

1 「内的時間」の懐の此処彼処に、「タスク」への問題意識を詰め込んでいく 「存在」とは何か。 「自由」とは何か。 「生きる」とは何か。 「人生」とは何か。 「人間」とは何か、等々。 唐突に聞かれても、軽々(けいけい)に答えられない人生の難問につい…

「川崎殺傷事件」 ―― それを囲繞する空疎な風景への苛立たしさ

1 「自分一人で死ね」派の激発的情動言辞の風景 ―― その情報爆轟の「疑似ロゴス」 「この事件を見てる日本中の子供を持った親御さんは、どうやって子供を守ったらいいと、ただただ恐怖なだけで防ぎようがない。いつどこで何が起こるかわからない。一人の頭…

私たちはいつだって愚かであり、不完全である

1 人格総体を差配する自我の資源は枯渇する 「人間の愚かさの本質」について言及する。 目覚しい学問的発展を遂げている生物学の現状だが、生命現象のメカニズムの解明については、一貫して、説明不明瞭さを克服すべき課題になっている。 数理的手法を用い…

「万世一系」という究極の「物語」

1 「ヤマト王権」の天皇像 ―― 「記紀」の「物語性」・「文学性」のインテンシティ 古くは「すめらき」・「すめらぎ」と呼ばれ、また、日常語に近い「大王」(おおきみ)か、儀礼的な意味を持つ「スメラミコト」とも呼ばれていた「天皇」という用語が、一般…

人生はどんな状況でも意味がある

1 「言語を絶する感動に震える名著」と出会った衝撃が人生を変える 「私たち同じ人間が、同じ人間に対してこんなにも残酷になれるのか!」 その「非道さに、怒り、震え」た。 某ブロガー氏の文章の一部である。 「ある日、何かのきっかけで何気なく読み始め…

近親姦の性暴力の圧倒的破壊力 ―― 「状況限定性」に押し込まれた「絶対的弱者」

1 「世間」という名の、他人の視界を遮断し、出口が塞がれ、ロックされていた 名古屋地方裁判所岡崎支部での「無罪判決」。 当該裁判長が下した、信じ難い「無罪判決」が、ネット、メディアを通じて、今なお物議を醸している。 問題は、「名古屋地裁岡崎支…

「世界最大の民主主義国家」 ―― 遥かなるインド・その〈現在性〉

1 「国民のために身をささげる。旅はいま始まった」 インドや東南アジアで、雨季を意味する「モンスーン」(季節風)の気候下にあるエリアを 「モンスーンアジア」と呼ぶ。 湿潤な地域が広がる「モンスーンアジア」は、格好の水稲栽培地帯になっていて、多…

「状況が歴史を動かす」 ―― 「731部隊」とは何だったのか

1 「生理学的実験」を遂行した途轍もない破壊力 かつて、「防疫給水部」(ぼうえききゅうすいぶ)と呼称される専門部隊が、大日本帝国陸軍の組織系統の中にあった。 「防疫給水部」とは、文字通りの意味で、疫病対策と浄水の確保を維持し、ライフラインの整…

男の虚栄が崩されていく

1 「欲望自然主義」の知覚系の炸裂と、女たちの「生活合理主義」のフルスロットル 男の虚栄の推進力が、今や、明らかに衰弱してしまっている。 戦後の高度成長期が一段落し、人々の生活が人並みの豊かさを手に入れることで、この国の人々は、私権の拡大的定…

障害者の「全人格的な生存権」と、「人間の尊厳」の完全破壊の悍ましさ

1 「意思疎通がとれない人間を安楽死させるべきだと考えております」 2016年7月26日未明、その事件は起きた。 事件の現場は、自治体の施設運営を民間委託する「指定管理者制度」を導入した、「津久井やまゆり園」という知的障害者福祉施設だった。 …

戦後の裏面史としての「幸福競争」の時代

1 古いものより、少しでも新しく、その時代にジャストフィットする文化的悦楽 「映画の鬼」とも言うべき、精力的な表現作家として知られる故・新藤兼人監督の代表作の一つに、「裸の島」という傑作がある。 久しぶりに、台詞のない本作をじっくり鑑賞した。…

「健康」とは基本的人権である

1 「日本」という名の、「社会主義国家」の無頓着な安寧感 日本の医療の特徴は、社会の構成員全員に医療及び、医療費補助を提供するという、「ユニバーサルヘルスケア制度」=「国民皆保険」と、自らの判断で自由に病院を選べる「フリーアクセス」にあると…

「サッチャリズム」とは何だったのか

第二次大戦後,イギリスは労働党政権下で、石炭,電力、鉄鋼、鉄道、自動車産業、道路輸送などを国有化した結果(産業国有化政策)、国際競争力を失って、輸出が減少し、輸入が増加する事態を招来していく。 当然の如く、貿易収支は悪化していき、ポンドは切…

「ロヒンギャ難民」 ―― 爆裂する破壊的暴力が抱える問題の複雑さ

1 「ビルメロ」の感傷が、現実の歪んだ政治状況の渦中で掻き消されてしまっている 一貫して、自由主義者のスタンスを堅持したドイツ文学者・竹山道雄の児童文学の秀作を、市川崑監督によって、2度に及び映画化された名作・「ビルマの竪琴」は、「お涙頂戴…

ジム・ジャームッシュ監督の世界

ジム・ジャームッシュの奇跡的傑作である「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の評論を擱筆(かくひつ)した後、暫くして、私は偶然にも一冊の著書と出会う機会に恵まれた。 その本の名は、「JIM JARMUSCH INTERVIEWS 映画監督ジム・ジャームッシュの歴史」(ル…

非言語コミュニケーションが異文化交流の困難さを突破する

1 非言語コミュニケーションのメッセージ性の豊富さ ヘブライ語を全く話せない他国の中東民族が、ヘブライ語を話せる「アラブ系」が定住する国家=イスラエルにやって来て、英語という、言語コミュニケーションというツールによってのみ補填していく、一本…

「自分が見たものが全て」という、視界限定の狭隘さ

1 物事を「単純化」し、「感覚的処理」によって状況を読み解き、分かったつもりになる 溢れ返るほどの情報群の中から、一定の情報を特定的に取り出して認知すること。 この認知機能を、認知心理学のフィールドで「選択的注意」と呼ぶ。 そもそも、私たち人…

それでも、グローバル化は止められない

1 現代史的「グローバリゼーション」の、その革命的な「グレートローテーション」 「地球は狭くなった」 まるで、この「地球規模化」の標語の如く、「グローバリゼーション」の激動が「経済・政治・社会」の連合体のように印象づけられたのは、資本自由化に…

ホラー映画とは何か

1 ホラー映画の王道から逸脱した不条理ホラーの独立峰 観る者に「恐怖感の享受を予約」する映画 ―― 狭義に言うと、私はそれをホラー映画と呼んでいる。 だから、残酷描写を売り物にするスプラッターが、広義のホラー映画に含まれることを認めても、必ずしも…

意見が変わるのは悪いことなのか

1 「私の意見」の初発点で拾い集められなかった情報価値が、「ストローク交換」の収斂過程で修正されていく 一般に、意見や態度が見境なく移り変わるのは、好ましくない現象と言われる。 その浅慮(せんりょ)の故に、脇が甘いと思われるのだ。 「見境なく…

「アルビノ狩り」 ―― その言語を絶する凄惨さ

1 「サブサハラ」の多様性と「文化的特異性」 2016年段階で、約12億5600万の人口を有し、54カ国が集合する大陸がある。 世界最大の砂漠・サハラ砂漠で、大陸を大きく二つに分けるアフリカ大陸である。 このサハラ砂漠を境界点にすれば、イスラ…

自分の才能を見つけるという「能力」の難しさ

1 自分の才能を見つけるという「能力」の難しさ 人間は滑稽な生き物である。 社会的適応を果たす上で最低限必要な情報を手に入れ、その情報を駆使する相応の能力を持つことで、一定の「地位」と「収入」を得ることに成就したとき、その成就のインセンティブ…

「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」 ―― 「イスラエル」とは何か

1 「拷問訓練」を耐える者のみが知る、インテリジェンス機関の任務の苛酷さ 世界各国のインテリジェンス機関の中で、イスラエル諜報特務庁(モサド)の強靭さは、世界最強の諜報機関としての使命感に支えられている。 「私の部下たちがやっている仕事と比べ…

「察し」の心理学

認知心理学のフィールドで言えば、意識的思考の継続によって、心身の疲弊感が存分に伴う「熟考思考」(「システム2」)を回避し、自らの経験則をベースに直感的に判断するヒューリスティック的な思考パターン、即ち、「システム1」=「速い思考」に振れや…

韓国人は「神経症」・日本人は「心身症」 ―― その折り合いの悪さ

1 炙り出された視界不良の歴史的状況性 遂に、ここまできてしまった。 「徴用工問題」と「慰安婦財団解散」の問題である。 両国における激しい反対運動の澎湃(ほうはい)の中にあって、朝鮮半島情勢を懸念する米国の積極的な仲介があり、1965年の「日…

「財政的幼児虐待」 ―― 財政悪化のツケを次世代に押しつける無責任体質

1 「老境国家」が誕生する 「破産する未来 少子高齢化と米国経済」という、震撼(しんかん)すべき著書がある。 著者は、アメリカの財政学者・ローレンス・コトリコフ(ボストン大学教授)。 カリフォルニア大学教授・アラン・アゥアバックと共に、世代間で…

「ウイグル絶望収容所」 ── 中国共産党・その罪の重さ

1 「核実験のモルモット」にされたウイグル民族の凄惨さ 「一度入ったら出られない死の砂漠」 日本の国土に匹敵する面積を持つ、タクラマカン砂漠の巨大さを表現するウイグル語(中央ユーラシアを中心に広がる「テュルク系」の言語)である。 場所は、「新…

「多様性」の揺らぎの海に生きる

1 神話の世界に摂取された、人間社会の「大いなる不思議」の文学的産物 私たちの社会は、まるで、男と女しか存在しないように動いている。 この存在の〈在(あ)りよう〉を誰も疑うことがない。 しかし現実には、私たちがイメージする男や女の身体に、収ま…