日記

「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」 ―― 「イスラエル」とは何か

1 「拷問訓練」を耐える者のみが知る、インテリジェンス機関の任務の苛酷さ 世界各国のインテリジェンス機関の中で、イスラエル諜報特務庁(モサド)の強靭さは、世界最強の諜報機関としての使命感に支えられている。 「私の部下たちがやっている仕事と比べ…

「察し」の心理学

認知心理学のフィールドで言えば、意識的思考の継続によって、心身の疲弊感が存分に伴う「熟考思考」(「システム2」)を回避し、自らの経験則をベースに直感的に判断するヒューリスティック的な思考パターン、即ち、「システム1」=「速い思考」に振れや…

韓国人は「神経症」・日本人は「心身症」 ―― その折り合いの悪さ

1 炙り出された視界不良の歴史的状況性 遂に、ここまできてしまった。 「徴用工問題」と「慰安婦財団解散」の問題である。 両国における激しい反対運動の澎湃(ほうはい)の中にあって、朝鮮半島情勢を懸念する米国の積極的な仲介があり、1965年の「日…

「僕は大胆にど真ん中へ投げるようなことはしたくない」 ―― 快刀乱麻 菅野智之2018

1 先発完投型投手の申し子・菅野智之が弾けていた 本当に成し遂げてしまった。 驚きを隠せない。 CS(クライマックスシリーズ)・ファーストステージ出場への一枚の切符を懸けて、2チームが鎬(しのぎ)を削っていた。 2018年プロ野球公式戦・セ・リ…

「財政的幼児虐待」 ―― 財政悪化のツケを次世代に押しつける無責任体質

1 「老境国家」が誕生する 「破産する未来 少子高齢化と米国経済」という、震撼(しんかん)すべき著書がある。 著者は、アメリカの財政学者・ローレンス・コトリコフ(ボストン大学教授)。 カリフォルニア大学教授・アラン・アゥアバックと共に、世代間で…

「ウイグル絶望収容所」 ── 中国共産党・その罪の重さ

1 「核実験のモルモット」にされたウイグル民族の凄惨さ 「一度入ったら出られない死の砂漠」 日本の国土に匹敵する面積を持つ、タクラマカン砂漠の巨大さを表現するウイグル語(中央ユーラシアを中心に広がる「テュルク系」の言語)である。 場所は、「新…

「多様性」の揺らぎの海に生きる

1 神話の世界に摂取された、人間社会の「大いなる不思議」の文学的産物 私たちの社会は、まるで、男と女しか存在しないように動いている。 この存在の〈在(あ)りよう〉を誰も疑うことがない。 しかし現実には、私たちがイメージする男や女の身体に、収ま…

「声を上げる勇気」 ―― 「性奴隷」にされたナディア・ムラドの終わりなき戦争

1 世界は何もできない ―― 一切を奪われてしまった女性の屈辱的で絶望的な運命 一人の女性がいる。 かつてベルギー領だった赤道直下のコンゴ民主共和国(旧ザイール)で、暗殺の危機に遭遇しながら、コンゴ内戦でレイプ被害の女性たちを治療し続けたデニス・…

「現代版村八分」 ―― その人権侵害の破壊力

1 「不浄感」を沁み込ませた「異物」に対する排斥行為 ―― 「村八分」とは何なのか ルール違反の特定他者を「仲間」として受容せず、「余所者」(よそもの)として排斥(はいせき)する行為 ―― これが、村落などの地域社会で行われたら、通常、「村八分」と…

公権力の行使にとって、LGBTの知識がないことは許されない

1 「ストローマン」の詭弁に言い逃れする「文芸評論家」の致命的脆弱性 事の発端(ことのほったん)から書けば、杉田水脈(みお・敬称略)が然(しか)るべき記者会見を開き、基礎生物学の重要な研究領域・「発生生物学領域」の教養レベルに届きようがない…

「先入観」の心理学

1 人間は「先入観」なしでは生きていけない 「物自体」(ものじたい)という哲学概念がある。 カント哲学の基本概念であるが、簡単に言えば、人間が経験的に認識できる「現象」に対して、決して認識し得ない「本体」のことを言う。 人間が思惟(しい)し得…

LGBTという、押し込められた負の記号を突き抜ける肯定的な自己表現

1 カミングアウトを不要とする社会を、いかに実現するか ―― 所感として LGBTについて、今、ようやく一般的な理解が進みつつある。 様々な啓発本が出版され、LGBTの人権問題を解消し、社会的包摂(ほうせつ)の立法化が進む国際的潮流に呑み込まれる…

セーレムで何が起こったか

1 「私は魂を売った人間だが、名前は私にくれ!」 極限状態の渦中での、プロクター夫婦の壮絶な会話から起こしていく。 「罪を認めたら許される。お前は、どう思う?・・・告白を?」 「あなたが決めて」 「お前の望みは?」 「あなたに任せます。でも生きて・・…

人はどのように男になり、女になっていくのか

1 「性分化」には4つの険しい関門がある ヒトの性が、XとYの性染色体によって規定される事実が瞭然(りょうぜん)としたのは、20世紀半ばに性染色体が発見されたからである。 この発見は、Y染色体の有無が性を決定し、Y染色体を持つ個体が男性であり…

人間とは何か

1 「欲望の稜線伸ばし」を捨てられないホモサピエンスの宿命 現在、並列して処理する部分の多いアルゴリズム(問題を解くための計算手法)を見つけ、これを複数のコンピューターを使用・実行・処理を可能にする高度な「並列処理」=「パラレル処理」を確保…

二人で選ぶ外国映画96選(アメリカ篇)

アトランダムに選んだランキングなしの、主観的な「秀作」の抜粋である。 一般的に評価されている作品であっても、共に気に入った作品が前提条件なので、漏脱(ろうだつ)されている「秀作」が多くあるが、どこまでも、私たち夫婦の拘泥(こうでい)が強く反…

二人で選ぶ外国映画123選(アジア・オーストラリア・南米・ヨーロッパ篇)

アトランダムに選んだランキングなしの、主観的な「秀作」の抜粋である。 一般的に評価されている作品であっても、共に気に入った作品が前提条件なので、漏脱(ろうだつ)されている「秀作」が多くあるが、どこまでも、私たち夫婦の拘泥(こうでい)が強く…

「妬まず、恥じず、過剰に走らず」という「分相応」の「人生哲学」 ―― その突破力の脆弱性

1 「バランスの人生哲学」という「分相応主義」のイデオロギー 稲垣浩監督の「無法松の一生」という圧倒的に感動的な映画を観終わった後、私の意識をしばらく支配した言葉がある。 「分相応」(ぶんそうおう)という言葉である。 いつまでも私の脳裏に焼き…

二人で選ぶ邦画70選

アトランダムに選んだランキングなしの、主観的な「秀作映画」の抜粋である。 一般的に評価されている作品であっても、共に気に入った作品が前提条件なので、漏脱(ろうだつ)されている「秀作映画」が多くあるが、どこまでも、私たち夫婦の拘泥(こうでい)…

道理を超えた矛盾と齟齬を描き切った、「掟」と「掟」の衝突の物語

1 文革の被害少年と加害少年が、手を握り合って立ち上げた記念碑的映像 映画「黄色い大地」は、私にとって「さらば、わが愛/覇王別姫」と並んで、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の秀作の中で、心が震えるような感銘を覚えた作品である。 これほどの作品を…

「幕末」とは何だったのか

1 「黒船」がやって来た 大老・井伊直弼が暗殺され、明治維新へと猛(たけ)り立っていく激動の歴史の起点となった、世に言う「桜田門外の変」。 一切は、1853年に起こった「黒船来航」に淵源(えんげん)する。 「アメリカ合衆国大統領国書」が幕府に…

キッズ・リターン('96) 北野武 <反転的なアファーメーション、或いは、若者たちへの直截なメッセージ>

1 視界の見えない未知のゾーンから生還したアファーメーション 殆どそこにしか辿り着かないと思えるような、アッパーで、脱規範的な流れ方があって、その流れを自覚的な防衛機制によって囲い込む機能を麻痺させた結果、そこにしか辿り着かない地平に最近接…

境界を超えていく芸術表現の仮想体験

1 映像批評の規範性 映像が提示したものを、観る者は想像力を駆使して読み解いていく。 映像が提示したものと、提示されたものについて想像力を駆使する者が、観念の世界で結ぶ幻想の中枢を「批評の前線」と呼んでもいい。 「批評の前線」にあって、想像力…

人間の尊厳とは、自らの〈現存在性〉と折り合うことである

1 尊厳的な価値を自らのうちに見出せない〈現存在性〉の奥深い闇 レコンキスタ(イスラム教徒からのキリスト教徒のイベリア半島奪回運動)以降、国民の約70%がローマ・カトリック教のスペインに、かつて、ラモン・サンペドロという人物がいた。 Wikipedi…

「生者」は「死者」となり、移ろい過ぎ去ることなく、「永遠の詩人」として蘇る ―― イラン革命とは何だったのか

1 イラン革命とは何だったのか まるで、それは〈天〉と〈地〉がひっくり返ったような世界だった。 外部環境の劇的な体制転換=「レジームチェンジ」によって生まれた新体制は、多様化し、様々な差異を見せながら発展・進化してきたヨーロッパやアメリカ文化…

戦争における「人殺し」の心理学 ―― 「見える残酷」を如何に削り取っていくか

1 「社会主義共和国」を謳う、アメリカより遥かに「厄介な国」がミサイルの脅威をちらつかせて、我が国を包囲する アメリカが途轍(とてつ)もなく厄介な国に堕ちていったのは、日本に対する二度にわたる原爆投下であると、極めて主観的に私は考えている。 …

「忘れられた被害者」 ―― ロマ人が被弾した「ポライモス」の惨状

1 「ジプシー」と呼ばれる「劣等人種・ロマ」のルーツ 「パリの窃盗の5分の1はロマの仕業だ」 欧州において、「非定住者」・「怠惰者」のラベリングを貼られ、移動型民族・「ジプシー」の最大勢力である「ロマ」の集団に対する、「人権大国」フランスの、…

劣等コンプレックスを乗り越えた国王 ―― その「攻撃的大義」への果敢なる飛翔

1 「吃音症」は「吃音⇒緊張⇒吃音症状の増幅」という負の連鎖が常態化する言語障害である 知力・言語能力が保持されながら、流暢(りゅうちょう)に「発話」ができない吃音(きつおん)は、「吃音回避」のために膝を叩いたり、口を歪めて「発話」したりする…

「トラもハエもたたく」 ―― 反腐敗キャンペーンの嵐が中国社会を覆い尽くしている

1 「中国一の金持ち村」 ―― 命を懸けた村民のバイタリティが弾け、大地を揺さぶり、奇跡をもたらす 「土豪」という言葉がある。 「日中・中日辞典」では「地方の悪徳ボス」と説明されているが、近年、その「土豪」が中国で話題になっている。 「成金」への…

「丸刈り」にされた女 ―― 尊厳を奪回する「覚悟の帰郷」

1 「性的な対独協力者」に対する「丸刈り」という狂気の沙汰 第二次世界大戦期のドイツとフランスにおいて、女性に対して行なわれた「丸刈り」という凄惨な現象がある。 髪を刈るという行為自体は男女に拘らず、古代からあった。 古代からあった「丸刈り」…