#映画監督
1 「メデイアの加害者性」を剔抉した、「基本・反戦映画」の鮮度の高さ この映画は、たとえ通州事件(1937年7月)があったにせよ、侵略戦争としての日中戦争ではなく、帝国主義間戦争(市場再分割戦争)としての太平洋戦争に焦点を当て、その戦争に対…
日本近代史の中で、「源氏物語」は受難の文学だった。 「庶民感覚から遊離した『有閑階級の文学』」という理由で、プロレタリア文学から批判の矛先を向けられ、「ごく普通の人生を生きる者としての人格性の欠如」という理由で白樺派文学から批判される始末。…
どこまでも長閑(のどか)で、穏やかな瀬戸内の海に、小さな島々が浮かんでいる。そこに、「黒い雨」というタイトルが映し出されていく。 昭和20年8月6日。晴れ上がった朝だった。 トラックの荷台に何人かの女性たちが乗っていて、一軒の屋敷の前で止ま…
「浮雲」―― それは多分に諧謔性を含んだ一連の成瀬作品と明らかに距離を置くような、男と女の過剰なまでに暗鬱なる情念のドラマである。 大体、ここまで男と女の心の奥の襞(ひだ)の部分まで描き切った映画が他にあっただろうか。 時代がどのように移ろうと…