2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

戦後の裏面史としての「幸福競争」の時代

1 古いものより、少しでも新しく、その時代にジャストフィットする文化的悦楽 「映画の鬼」とも言うべき、精力的な表現作家として知られる故・新藤兼人監督の代表作の一つに、「裸の島」という傑作がある。 久しぶりに、台詞のない本作をじっくり鑑賞した。…

「健康」とは基本的人権である

1 「日本」という名の、「社会主義国家」の無頓着な安寧感 日本の医療の特徴は、社会の構成員全員に医療及び、医療費補助を提供するという、「ユニバーサルヘルスケア制度」=「国民皆保険」と、自らの判断で自由に病院を選べる「フリーアクセス」にあると…

「サッチャリズム」とは何だったのか

第二次大戦後,イギリスは労働党政権下で、石炭,電力、鉄鋼、鉄道、自動車産業、道路輸送などを国有化した結果(産業国有化政策)、国際競争力を失って、輸出が減少し、輸入が増加する事態を招来していく。 当然の如く、貿易収支は悪化していき、ポンドは切…

「ロヒンギャ難民」 ―― 爆裂する破壊的暴力が抱える問題の複雑さ

1 「ビルメロ」の感傷が、現実の歪んだ政治状況の渦中で掻き消されてしまっている 一貫して、自由主義者のスタンスを堅持したドイツ文学者・竹山道雄の児童文学の秀作を、市川崑監督によって、2度に及び映画化された名作・「ビルマの竪琴」は、「お涙頂戴…