2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

時代の風景 「尾木直樹という、『特定他者』を餌食にし、消費させる『メディア暴力』の無頓着な体現者」

1 「正・不正」、「善・悪」をジャッジする領域にまで踏み込んでしまうことへの無頓着さ ―― 「北海道小学生置き去り・行方不明騒動」を総括して その1 尾木直樹(敬称略)については、私が私塾を切回していた関係で、隣町の石神井中学校の教諭だった壮年期…

父 パードレ・パドローネ(‘77)  タヴィアーニ兄弟<仮想敵の「権限的縄張り」を突き抜けた青春の奇跡的飛翔の目映さ>

1 複雑な父子の葛藤を描き切った物語 「彼はガビーノ・レッダ。35歳。読み書きできなかったが、今では言語学者で、人気作家だ。この映画は、彼の自伝を基に作られた。物語は、サルデーニャの小学校から始まる。ガビーノは1年生だ。ある11月の朝、役場…

楢山節考(‘83) 今村昌平<「自然の摂理」によって潰された、反転的な「敬老訓話」>

1 「楢山様に謝るぞ!」 ―― 村の掟を犯した者への苛酷な制裁 「お婆ぁ、いま幾つだったっけ?」 「69だ」 「お婆ぁの歯は丈夫だなぁ。その歯じゃ、マツカサでもヘッピリ豆でも、何でも食えるら。お婆ぁの歯は33本あるら」(注・マツカサは松の種子、ヘ…

心の風景 「『それがどうした』 ―― 死の際(きわ)で青年司祭の放った究極のメッセージが、抑鬱状態を噛み切り、解き放つ」

1 反転思考を、最初で最後の供給源と化す 腹八分程度だが、良い映画は空腹感を満たすほどには観ている。 しかし、枯渇した魂に潤いを補給し、襤褸(ぼろ)に塗(まみ)れた旗を立て、その旗を担いで、「鈍足の一歩」を踏み出すことが可能な作品に出会うこと…