プーチンの軍隊「ロシア連邦軍」の人権抑圧・腐敗の凄まじさ

f:id:zilx2g:20220405213229j:plain

1  「自国民を守る」という理由で小国に駐留し、侵略戦争を仕掛けるプーチンの戦略は一貫して変わらない

 

 

 

プーチンの「当然の変化」に驚くロシア史の専門家が少なくないことに、正直、唖然とする。

 

この人たちは、一体、何を研究してきたのだろうか。

 

アンナ・ポリトコフスカヤやリトビネンコの著書を漏れなく読んでいるはずなのに、プーチンの「当然の変化」に驚くのである。

 

また、ウクライナへの侵略戦争の報道の只中で、プーチンに理解を示すコメンテーターもいる。

 

彼らは一様に発信する。

 

ゼレンスキー大統領こそが、東部ドンバス地域での停戦合意文書・「ミンスク合意」を破棄したことを誹議(ひぎ)するのだ。

 

「攻められたらしょうがないじゃないか」とも言ってのけるのだ。

 

独仏の仲介によっ合意された「ミンスク2」(2015年2月11日)の内容は、ウクライナと分離独立派双方の武器使用の即時停止、領内の武装集団・戦闘員の撤退、 そして、ドンバスの「ドネツク民共和国」・「ルガンスク人民共和国」 の「特別な地位」に関する法の成立、等々だが、要するに、親ロ派に「高度な自治権」を認めるという極端にロシア寄りの文書である。

 

この文書に対して、ウクライナ当局が一貫して同意していなかった経緯があるが、署名したにも拘らず、ロシア側は「当事者性」を否定し、「合意の保証人に過ぎない」と強弁したのだ。

 

かくて、ウクライナ軍がドローンを駆使し、分離独立派の武装組織を攻撃(2021年10月)したとして、プーチンは「ミンスク2」違反であると糾弾した。

 

プーチンウクライナ東部の親ロシア派支配地域の「独立承認」を一方的に決めた挙句、「ウクライナ内戦」の解決に向けた努力が求められながらも、「ミンスク2」を手ずから破棄するに至る。

 

ここから開かれたのが、ウクライナへの侵略戦争

 

ここで顧みるに、ウクライナ当局は、ドローン攻撃が親ロシア派地域からの砲撃への反撃と捉えているのだ。

 

然るに、コメンテーター諸氏は、このドローン攻撃を、結果責任を常に相手側に反転させるロシア得意の「偽旗作戦」とは考えないようである。

 

だから、「攻められたらしょうがないじゃないか」という結論になる。

 

厄介な御仁である。

 

何より厄介なのは、「ロシアも悪いが、ウクライナにも相当程度の責任がある」というように、恰も「喧嘩両成敗」とも思える言辞を発信する連中である。

 

そんな彼らに欠けているのは、以下の認識である。

 

即ち、ウクライナ侵攻と呼称される戦争が、「侵略戦争」であるということ。

 

そして、それが「プーチンの戦争」であるということ。

 

要するに、「プーチンによる侵略戦争」であるということ ―― この認識が欠落しているのだ。

 

だから、件(くだん)のコメンテーターによれば、「戦争という状態になっちゃったら人が死んじゃうんですよ。地獄のような状況になっちゃう」などという児戯的、且つ、過分に情緒的な物言いに流されていく。

 

その「地獄のような状況」を回避する方略が、「侵略されたら降伏する」という一択しかないという極論にまで行き着くのだろう。

 

それは、侵略する主権国家によって、侵略された主権国家の尊厳を守るために命を懸けて戦う人々に対して、冷や水を浴びせる言辞であることに無頓着過ぎる能天気な思考回路という外にない。

 

プーチンによる侵略戦争」の向こうに待つ、目を覆うが如き恐怖政治が集合的に内包する、ごく普通サイズのリアルな問題意識の致命的欠如。

 

表現の自由が保障されている国民国家で〈生〉を繋ぐ者と、侵略された主権国家で生存の保障すら奪われた国民国家で必死に〈生〉を繋ぐ者との、手に負えないほどの埋め難い絶望的乖離。

 

これだけが透けて見えてしまうのだ。

 

【この侵略戦争は、既に、ロシア支配からの脱却を求めて起こした「ジョージア・ロシア戦争」(南オセチア紛争/2008年)が悲劇の前例となっていて、黒海東岸のジョージア(旧グルジア)の南オセチアにロシア軍が駐留し、緊張関係が続いている。

 

全て「自国民を守る」という理由で、小国に駐留し、侵略戦争を仕掛けるプーチンの戦略は一貫して変わらない事実を知るべきである。これは、4で紹介するプーチンの軍隊「ロシア連邦軍」の凄まじい犯罪と腐敗ぶりを知れば、身の毛がよだつだろう】

 

 

時代の風景: プーチンの軍隊「ロシア連邦軍」の人権抑圧・腐敗の凄まじさ」より