2014-01-31から1日間の記事一覧

プラトーン(‘86)  オリバー・ストーン <「ベトナム帰還兵」としての使命感に変換されていく若者の痛切な前線経験>

1 「悪魔」に堕ちていくハードルを低下させる、差別意識と憎悪感・恐怖感 この存分に毒素の詰まった映画の基本骨格は、二つの異なった「大義」の衝突による、極めて現代史的要素の強い作品と考えているので、その問題意識に準拠して批評を繋いでいくつもり…

地獄の黙示録('79)  フランシス・F・コッポラ<「ベトナム」という妖怪に打ち砕かれて>

1 ニューシネマの最終到達点 アメリカは厄介な国である。 自分の国を最も偉大で、強大な国であると、皆、素朴に信じて疑わないところがあるように見える。敢えて辛辣な言辞を弄すれば、その内実は、食いっぱぐれた無数のヨーロッパ系移民がインディアンを、…

フルメタル・ジャケット('87) スタンリー・キューブリック <「戦争における『人殺し』の心理学」についての映像的検証>

1 「狂気」に搦め捕られた「殺人マシーン」の「卵」と、「殺人マシーン」に変容し切れない若者との対比 本作の物語構造は、とても分りやすい。 それを要約すれば、こういう文脈で把握し得るだろう。 「殺人マシーン」を量産する「軍隊」の、極めて合理的だ…