2011-01-18から1日間の記事一覧

大誘拐('91) 岡本喜八 <「獅子の風格と、狐の抜け目のなさと、パンダの親しさを兼ね備えた人格」の支配力の凄み>

困っている人間を積極的にサポートする、幾多の慈善事業に取り組む程に、スケールの大きな包括力を有する山林王は、「善良性」を垣間見せる若者たちを、無傷で生還させねばならないと括ったのであろう。 そこにはもう、山林王と若者たちとの間で、ストックホ…

ロゼッタ('99) ダルデンヌ兄弟  <もう誰とも繋がれない少女の自我――「自己防衛」のための青春の尖りの苛酷さ>

少女はいつも怒り続けている。 映像の冒頭で、理由もなく解雇された故に工場内を逃げ回り、自分のロッカーの中に潜り込んで抵抗するシーンは、少女が拘泥する意識の中枢を描き出していて印象深い。 作り手は、観る者にいきなり勝負を挑んでくるのだ。 私たち…

「現代のロビンフッド」の快楽

何者でもない者が「特定的な何者か」であろうとするために支払ったエネルギーコストより、そこで手に入れたベネフィットの方が上回っていると信じられ、且つそれが継続性を持ち得るとき、その者は自分が辿り着いたであろう、「特定的な何者か」についての物…