2011-01-20から1日間の記事一覧

Love Letter(‘95) 岩井俊二 <「グリーフワーク」という基幹テーマの内に、べったりと添えられた「感動譚」の洪水>

どう考えても、本作のテーマは、ヒロインである渡辺博子の人格を深々と呪縛する自我に張り付く原因子を、「グリーフワーク」に向けてソフトランディングさせていくプロセスと、その克服と再生を描くもの。 それは、以下のエピソードによって判然とするだろう…

「連合赤軍」という闇 ― 自我を裂き、削り抜いた「箱庭の恐怖」  3

3.箱庭の恐怖 ある人間が、次第に自分の行動に虚しさを覚えたとする。 彼が基本的に自由であったなら、行動を放棄しないまでも、その行動の有効性を点検するために行動を減速させたり、一時的に中断したりするだろう。 ところが、行動の有効性の点検という…

「連合赤軍」という闇 ― 自我を裂き、削り抜いた「箱庭の恐怖」  2

2.箱庭の帝王 森恒夫と永田洋子が上州の山奥に構築した場所は、およそ人間の自我を適度に休ませる場所から最も隔たっていた。 人間の自我に恒常的に緊張感を高める場所にあって、森恒夫の自我は常に裸にされることを恐れつつ、必要以上の衣裳をそこに被せ…