2011-02-07から1日間の記事一覧

風花('oo) 相米慎二 <肥大化しつつある空洞感 ―― その脱出の可能性についての映像的考察>

男は満開の桜の下で、眼を覚ました。 陽春の朝とは言え、肌寒い外気はスーツ姿の男の覚醒をもたらしたのか。男の傍に知らない女が横になっていて、男には自分の置かれた状況が把握できないまま、脱げかけたズボンを整えて、必死に日常性を回復しようとする。…

小さな恋のメロディ('71) ワリス・フセイン <「秩序破壊」の向こうにある「お伽噺の世界」への〈状況脱出〉>

「児童期の恋」という刺激的なテーマ設定の中で、私が共感し得たシークエンスが含まれていたので、それに関連づけて言及したい。 11歳の少年少女である、ダニエルとメロディの二人が学校を休んで、海岸に行ったときのエピソードである。 海岸で砂遊びをし…

病識からの自己解放

「病気」とは何だろうか。 38度の熱があっても普通に生活するなら、恐らく、その人は「病気」ではない。 微熱が気になって仕事に集中できない人がいるなら、その人は「病気」であると言っていい。 「病人」とは、自らを「病気」であると認識する人である。…