2011-02-26から1日間の記事一覧

めし('51) 成瀬巳喜男 <「覚悟の帰郷」という、相互の自我を相対化させた時間の重要性>

「あなたは私が毎日、どういう思いで暮らしているか、お考えになった事あります?結婚って、こんなことなの?まるで女中のように、朝から晩までお洗濯とご飯ごしらえであくせくして。たまに外へ出て帰れば、嫌なことばかり」 倦怠期にある夫婦生活の変わらぬ…

長い散歩('06)  奥田瑛二 <「愛と情緒」の「表現的直接主義」の爛れ方>

「毒だらけの今の世の中、毒に満ちた映画を作っても仕方がない。毒を浄化する作品を作りたかった。観た後で結果的に癒されるが、ただ癒されるのではない。もう1歩前に進むための宿題を与えるような映画にできたと思う」(「JANJAN 奥田瑛二さん帰国会見 2…

恋人たちの食卓('94)  アン・リー <現代家族の流れ方に溶融する自己完結的な映像>

人間は自分の中にあって、自分が認知する性格傾向とほぼ同質のものを相手の中に確認するとき、その性格傾向が「肯定的自己像」に近いほど、相手に対する親和動機が高くなるだろう。 人間の性格傾向は、多くの場合、「自己像」のうちに固められているので容易…