2011-06-02から1日間の記事一覧

ラスト・ショー('71)  ピーター・ボグダノヴィッチ <青春映画のコアを包括的に吸収した「風景の映画」>

1 「ノスタルジア」に縋るしか術がない、「衰退」という名の削られ方 この映画が秀逸なのは、「風景の映画」としての包括力を持って、「青春映画」のコアの部分を巧みに吸収する表現力を構築し得たからである。 「風景の映画」―― それは「土地の風景」であ…

バグダッド・カフェ('87)  パーシー・アドロン <「日常性」の変りにくさに馴染んできた者たちによる、「第二次オアシス革命」への過渡期の熱狂>

1 疲弊し切った二人の女の邂逅の象徴的構図 本作の作り手が、構図に拘る事実を印象付ける象徴的なシーンがあった。 ブレンダとジャスミンの、初対面のシーンである。 まるで商売っ気がなく、鈍重な夫を追い出し、ハンカチで涙を拭うブレンダと、反りが合わ…