2011-06-07から1日間の記事一覧

僕の村は戦場だった('62)  アンドレイ・タルコフスキー <「非日常」の「現実」の風景と被膜一枚で隣接する、「回想」の柔和な風景の壊れやすさ>

1 異質の二つの風景の交叉の中で露呈された、「非日常」の「現実」の風景が内包する怖さ この映画は、二つの風景によって成っている。 一つは「日常性」の風景であり、もう一つは「非日常」の風景である。 前者は「回想シーン」で、後者は「現実」の風景で…

名もなく貧しく美しく('61)  松山善三<「美しきもの」を、「美しきもの」のまま、堂々と押し出してくる厚顔さ>

1 「秋のソナタ」と「名もなく貧しく美しく」、そして、「あの夏、いちばん静かな海」 ヒューマンドラマなら何でもいいという感覚で、青臭い時代に受容してきた映画を観ることが困難になってから久しい。 とりわけ、ガードレールクラッシュ以降、上辺だけの…