2011-06-15から1日間の記事一覧

セントラル・ステーション('98)  ヴァルテル・サレス <感覚鈍磨させてきた「情愛」を復元させる心情変容のステップ>

序 説得力のある映像構成によって成就した秀作 本作は、善悪の感覚に鈍磨した中年女性が、父を捜し求める少年との長旅を通して、感覚鈍磨した自我が、本来そこにあったと思わせる辺りにまで、曲接的に心情変容していくプロセスを、精緻で説得力のある映像構…

レスラー('08)   ダーレン・アロノフスキー <「何者か」であり続けることを捨てられない男の究極の選択肢>

序 シンプルな情感ラインで描き切った、武骨な男の孤独の悲哀 全てを失った男が、自分の「墓場」と決めた場所で昇天する。 そこに至るまでのプロセスに、人生の哀感が存分に詰まっていて、それが観る者の心を痛々しく、切ないまでに騒がせるのだ。 そんな映…