2011-06-21から1日間の記事一覧

不良少女モニカ('53)  イングマール・ベルイマン <自我の未成熟な女の変わらなさを描き切った圧倒的な凄味>

1 「青春の海」の求心力 ―― プロットライン① 陶磁器配達の仕事に追われる一人の若者がいる。 彼の名は、ハリー。 彼は奔放な我がまま娘と出会うことで、その生活に変化を来たしていく。 彼女の名は、モニカ。このとき、17歳だった。 純粋な青年、ハリーと…

冬の光('62)  イングマール・ベルイマン <物語に縋って生きる「職業的牧師」の欺瞞と孤独>

1 「職業的牧師」という名の、一人の「凡俗の徒」 本作の主題は、拠って立つ自我の安寧の基盤である物語に亀裂が入ってもなお、その物語に縋って生きていかねばならない男の欺瞞と孤独である、と私が考えている。 物語とは、キリスト教への深い信仰の念であ…