2012-02-04から1日間の記事一覧

キャタピラー('10) 若松孝二  <「絶対反戦」という基幹テーマの暴れ方 ―― 「『正義・不正義』という大義のラベリング化による一切の戦争」に対するアンチテーゼ>

1 日を追って変容する妻の優位性を顕在化させていく「権力関係」の反転現象 長閑な村の「銃後」という限定的な状況下での、限定的な関係構造を描くことで、「戦時体制下の国家によって仮構された、『軍神』の欺瞞性と自壊」という表層的テーマを通して、視…

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)('07)  若松孝二  <『実録』の名の下で希釈化され、削られた描写が照射した『事件』の闇の深層>

「実録」と銘打った物語の後半のクライマックスである、「あさま山荘」を描いた一連のシークエンスから掘り起こしたい。 あまりに著名な事件だから詳細な説明は省くが、そこに5人の「革命戦士」がこもっていたことは、当時を知る者には鮮明な記憶をなお残し…