2013-08-10から1日間の記事一覧

田舎司祭の日記(‘50) ロベール・ブレッソン  <「譲れないものを持つ者」の「強い映像」の凄み>

1 「譲れないものを持つ者」の「強い映像」の凄み この遣り切れない物語は、「神の沈黙」をテーマに先鋭的な映像を繋いできたイングマール・ベルイマン監督がそうであったように、「聖」の記号である司祭としての一切の行為が灰燼に帰し、遂に、自らの拠っ…

生きるべきか死ぬべきか(‘42)  エルンスト・ルビッチ <複層的に絡み合っている「笑いのツボ」の嵌りよう>

1 複層的に絡み合っている「笑いのツボ」の嵌りよう 正直言って、この「名画」は、私には全く嵌らなかった。 一言で言えば、面白くないのだ。 恐らく、私の「笑いのツボ」に嵌らないのだろう。 「笑いのツボ」は多岐多様であり、個性的であると同時に、年輪…

グラン・トリノ('08)  クリント・イーストウッド<「贖罪の自己完結」としての「弱者救済のナルシシズム」に酩酊するスーパーマン活劇>

1 「否定的自己像」を鋭角的に刺激する危うさに呑み込まれた、頑迷固陋の「全身アメリカ人」 頑固とは、自己像への過剰な拘泥である。 そのために、自分の行動傾向や価値観が環境に適応しにくい態度形成を常態化させていて、且つ、その態度形成のうちに特段…