2017-07-25から1日間の記事一覧

振れ幅の大きい複雑な人間が縋り付く、ごく普通のサイズのヒューマニズムに収斂される「弱さの中のエゴイズム」 ―― 映画「羅生門」の本質

1 高貴な侍夫婦が深い森の奥を通りかかった時、その事件は起こった 邦画史上、最高の作品を選べと言われたら、私は躊躇なく、以下の3作を挙げるだろう。 成瀬巳喜男監督の「浮雲」・今村昌平監督の「赤い殺意」、そして、本稿で言及する黒澤明監督の「羅生…