2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 「愛」があって「性」がある関係にのめり込んでいった少女の「愛の風景」 映画「第三夫人と髪飾り」('18)が訴える、女性差別の裸形の情態

1 「女性共同体」の中枢に吸収されていく少女の変容 * 「19世紀 ベトナム 14歳のメイは、裕福な大地主の第三夫人となる。事実に基づく物語」(冒頭のキャプション) 二艘(いっそう)の小舟。 先頭の一艘に、花嫁となる少女が乗り、渓流を上っていく。 …

「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」 ―― 映画「永遠の0」('13)という照準枠 山崎貴

1 それ以外にない孤高の生きざまの最終到達点 ―― その風景の理不尽さ 公開当時、大きな話題を呼んだ映画「永遠の0」。 正直、原作者の名で引いてしまい、観るのを控えていたが、コロナ禍(2021・5)で観て、この映画が提示した問題のシビアさがひしと…

愛する人('09)     ロドリゴ・ガルシア

<「未知なる娘」と「未知なる母」の、重くて長い時間が繋がっていく> 「産む」という、人間の根源的営為の問題をコアにして、「母と子」という、身近であるからこそ、様々に厄介なマターを抱え、それがディープで、重厚なテ-マのうちに凝縮される物語の主…

わたしは光をにぎっている('19)   中川龍太郎

<時代の変化が怒涛の勢いで押し寄せてきても、「善き文化」は受け継がれていく> 1 「目の前のできることから、一つずつ、できないことより、できそうなことから…小さなことでもいいから」 「澪と同じ、二十歳だったかな。私がここに来たのは」 「行きたく…