2010-12-13から1日間の記事一覧

人格変容

人は死別による喪失感からの蘇生には、しばしばグリーフワーク(愛する者を失った悲嘆から回復するプロセス)を必要とせざるを得ないほどに記憶を解毒させるための時間を要するが、裏切り等による一時的な内部空洞感を埋める熱量は次々に澎湃(ほうはい)し…

父と暮らせば('04) 黒木和雄 <内側の澱みが噴き上げてきて>

本稿の評論のテーマとして選んだ、「父と暮らせば」という映画は、「見えない残酷」を存分に見せ付けられた者の自我が負った傷跡の、その贖罪と癒しと再生を描いた印象的な一篇である。 そこには、複雑で込み入った物語などない。 そこにあるのは、煩悶する…