2011-02-12から1日間の記事一覧
1 「非在の存在性」の支配力、その「共存性濃度」の落差感 ―― 批評に入っていく。 この映画の重要なテーマが、上述したように、「黒姫山」の話と、そこに脈絡する「いつもちょっとだけ間に合わない」という次男の言葉に象徴されるように、一年に1、2回し…
本作の面白さの殆どは、ウディ・アレンの表現世界の基幹テーマとも言える、コミカルなオブラートに包ませた、理想と現実の乖離の悲哀と、その倒錯に関わる映像構築性の完成度の高さに因っているが、アレン映像の中で一つの到達点でもある本作は、一貫して無…
本作の政夫と民子が、彼らの「純愛」を貫徹できなかったのは、必ずしも時代状況の封建的な制約下にあって、外部圧力に屈したという一面だけで把握するだけでは不充分であろう。 何よりも、彼らの「純愛」の様態が脆弱であったこと。 その未成熟さが、彼らの…