2011-04-09から1日間の記事一覧

ロゼッタ('99) ダルデンヌ兄弟 <もう誰とも繋がれない少女の自我 ――「自己防衛」のための青春の尖りの苛酷さ>

1 少女の固い自我の奥深くまで肉薄した傑作 「怒りのナルシズム」でしかない尖りの青春ではなく、「自己防衛」のための青春の尖りの苛酷さ。 その苛酷さを、厳格なリアリズムで映像化した作品がある。 ベルギーの「怒れる作家」、ダルデンヌ兄弟による「ロ…

鳥('63) アルフレッド・ヒッチコック <「得体の知れない恐さ」を描き切った本作の凄み>

1 「得体の知れない恐さ」を描き切った本作の凄み 恐怖は、怒り、嫌悪、喜び、悲しみと共に、人間の基本的な感情である。 生物学的感情を惹起させる、特定的対象に対する「得体の知れない恐さ」を持ったとき、副腎髄質から分泌されるアドレナリンによって、…

名画短感⑧ 黄金狂時代('25)  チャールズ・チャップリン監督

「チャップリン映画」の中では、最も好きな作品。 金鉱を求めてアラスカの雪山で苦労する男たちの話に、滑稽なラブストーリーが絡んで、極めて完成度の高いチャップリン喜劇が誕生した。 嵐によって自分たちの小屋が断崖の縁まで飛ばされて、その小屋の中で…