2011-04-10から1日間の記事一覧

裸の島('60) 新藤兼人 <耕して天に至る>

1 必要な時間に必要な動きを、必要なエネルギーによって日常性を繋いで 乾いた土 限られた土地 映画「裸の島」で、冒頭に紹介されるこの短いフレーズの中に、既に映画のエッセンスが語られている。 映画の舞台は瀬戸内海に浮かぶ、僅か周囲四百メールの小島…

名画短感⑩ モナリザ('86) ニール・ジョーダン監督

ニール・ジョーダン監督の「モナリザ」は、忘れられない映画である。 冴えない中年男が、謎の女に恋をした。 初めは恋ではなかった。 ボスの身代りに入っていた刑務所から出所して来たその男、ジョージは、美しい黒人娼婦、シモーヌの専属運転手の仕事をもら…

名画短感⑬ 獅子座('59) エリック・ロメール監督

ファーストシーンとラストシーンの内実が同質のものでありながら、その時間枠の間に描かれた主人公と、その主人公を取り巻くパリの風景が劇的に変容していくさまを、ユーモラスなエピソードを挿入しつつも、しかしそこで奏でられていた通奏低音は、如何にも…