2011-04-12から1日間の記事一覧

誰も知らない('04)  是枝裕和  <大いなる空砲の幻想>

1 「全て社会が悪い」という論理的過誤 ―― 自分の問題意識にテーマを引き寄せるという些か強引な手法を、更に拡充させていく。具体的には、本作への批評を大幅に逸脱して、ここでは人生論的な評論ではなく、状況論的な映画評論を記していきたい。 この映画…

名画短感⑭  裁きは終わりぬ('50)  ンドレ・カイヤット監督

主題提起の強引さが物語を作り過ぎたという一点を除けば、ほぼ一級の名画と言っていい社会派ドラマ。 本作のテーマを、簡潔に要約すれば、以下の通り。 「約束」の故に、図らずも安楽死を遂行した女性被告を裁く、7人の陪審員たちのその判決の内実が、彼ら…