2011-04-15から1日間の記事一覧

嘆きの天使('30) ジョセフ・フォン・スタンバーグ   <「予約された残酷さ」―― 異文化侵入が破綻して>

港町として名高い、ハンブルグにあるギムナジウム(ドイツの中等教育機関で、大学進学を目的とする)。 そこに、一人の初老の教授がいる。その名はラート。とても厳格な英語教師である。 その日も彼は、表面的には静寂な教室で教鞭を執っていた。 その彼が、…

青春の殺人者('76) 長谷川和彦 <過剰把握された青春の自立の脆弱性、或いは、自己を相対化し得た若者の心の軌跡>

1 「解放的自我」とは無縁な若者の破壊の内実 このような環境下で、このような育てられ方をすれば、このような若者が生まれ、且つ、その若者が、このような状況下に置かれれば、このような犯罪を犯すかも知れないという説得力において、本作を凌駕する作品…