2011-04-17から1日間の記事一覧

流れる('56)  成瀬巳喜男  <今まさに失わんとする者たち>

1 シビアな現実を、淡々と、しかし残酷に描き切った成瀬映画の最高到達点 「男を知らないあなたに、何が分るって言うのよ!」 「男を知っているってことが、どうして自慢になるのよ!」 「へぇ、このお嬢さんは大変なことをおっしゃいましたよ。女に男がい…

十九歳の地図('79) 柳町光男 <歪んだ支配願望が極点にまで達する危うさを必然化して>

1 「嫌がらせの電話」という卑小な日常を繋ぐ青年 ファーストシーン。 厳冬の東京の未明。 新聞を抱えた青年が、白い息を吐きながら走っている。 一軒の家の前で立ち止まる青年。 いつも吠えられている犬が、今朝もまた、青年に向かって攻撃してきた。 小石…