2011-04-24から1日間の記事一覧

ノーカントリー('07)  コーエン兄弟 <「世界の現在性」の爛れ方を集約する記号として>

1 恐怖ルールを持つ男 個人が帰属する当該社会に遍く支持されている規範(ルール)、それを「道徳」と呼ぶ。 この道徳的質の高さを「善」と定義しても間違いないだろう。 しかしそれらは、どこまでも「やって欲しいこと」と「やって欲しくないこと」を内的…

ペパーミント・キャンディー('99)  イ・チャンドン <そこにしか辿り着かないような、破滅的傾向を顕在化させた自壊への航跡>

1979年秋。 20歳のヨンホにとって、「人生で最も美しい瞬間」を映し出して閉じていくラストシーンである。 「花の写真を撮る」ことを趣味とする、工場労働者のヨンホの性格傾向に張り付く、ある種の「イノセント性」は、世代としては共通するであろう…