2011-05-09から1日間の記事一覧

この国の「闘争心」の形

1 序 ―― その場凌ぎのリアリズム この国では、しばしば、結果よりもモチーフの純度こそ評価される傾向があるという指摘は多い。 極端に言えば、この国では「何をしたか」によってではなく、「何をしようとしたか」によって人間の価値が決まるのであり、その…

ただいま('99)  チャン・ユアン   <「贖罪意識の累加の17年」という内実の重さ>

1 これ以上削れないという、ミニマムな描写の提示のうちに鏤刻した構築的映像 ラスト9分間で勝負する、この90分にも満たない映像の完成度の高さに舌を巻いた。 内側から込み上げてきたものが、幾筋もの液状のラインを成して、相貌を崩すほどの感動を与え…