2011-11-11から1日間の記事一覧

深夜の告白('44) ビリー・ワイルダー<「袋小路の閉塞感」の表現力を相対的に削り取ることで希釈化された、ダークサイドの陰鬱感漂う「フィルム・ノワール」>

1 澱みのないセリフの応酬による饒舌な筆致の瑕疵 「男を破滅させる女」 ―― このような女を、「ファム・ファタール」と言う。 ここに、ラストシーン近くに用意された短い会話がある。 「俺を愛してたのか?」 「人を愛したことなどないわ」 これが、ハリウ…

イースタン・プロミス('07)  デヴィッド・クローネンバーグ  <「全身ハードボイルドもどき」の男と、「聖母マリア」の距離が関数的に広がっていくだけの物語>

1 「全身ハードボイルドもどき」の男と、「聖母マリア」の距離が関数的に広がっていくだけの物語 本作に関しては、深読みするスノッブ効果は不必要である、というのが私の結論。 分りやす過ぎる映画だからだ。 「俺には両親はいません。これまで、“法の泥棒…