2013-05-10から1日間の記事一覧

桐島、部活やめるってよ(‘12) 吉田大八 <「現代の青春」の空気感を鋭く切り取った青春ドラマの大傑作>

1 「現代の青春」の空気感を鋭く切り取った青春ドラマの大傑作 映画を観ていて、涙が止まらなかったのは、いつ以来だろうか。 外国映画なら人間の尊厳を描き切った、ワン・ビン監督の「無言歌」(2010年製作)という生涯忘れ難い作品があるが、邦画にな…

劒岳 点の記('09) 木村大作 <「仲間」=「和」の精神という中枢理念への浄化の映像の力技>

序 「誰かが行かねば、道はできない」 ―― 本作の梗概 「誰かが行かねば、道はできない。日本地図完成のために命を賭けた男たちの記録」 この見事なキャッチコピーで銘打った本作の梗概を、公式サイトから引用してみる。 「日露戦争後の明治39年、陸軍は国…

カッコーの巣の上で('75) ミロス・フォアマン <「分りやすい人物造形」と「分りやすい物語構成」、そして、「分りやすい『権力関係』」の単純な構図>

1 「アナーキーな革命家」を立ち上げていく「アンチのヒーロー」 良かれ悪しかれ、ニューシネマの最終地点辺りに構築された、ジャック・ニコルソン主演の本作は、そこに濃度の差こそあれ、多くのニューシネマに共通する、「破壊されし、アンチのヒーロー」…