2013-08-17から1日間の記事一覧

セブンス・コンチネント(‘89) ミヒャエル・ハネケ <「大量廃棄」によって無化される「大量消費」の「負のリズム」―― ハネケ映像の強靭な腕力の支配力の凄み>

1 現代最高峰の映像作家 恐らく、ミヒャエル・ハネケ監督は、私たちの「映画観」を根柢から変えてしまう凄まじいパワーを持つ映像作家である。 一切の娯楽的要素を剥ぎ取って作り出した映像の凄みは、時には、薄っぺらで、見え見えな軟着点が予約されている…

(ハル)('96) 森田芳光  <「異性身体」を視覚的に捕捉していく緩やかなステップの心地良さ>

1 緩やかなステップを上り詰めていく男と女の物語 ―― プロット紹介 恋人を交通事故で喪ったトラウマを持つ(ほし)と、アメフトの選手としての挫折経験を引き摺る(ハル)が、パソコン通信によるメール交換を介して急速に関係を構築していく。 同時に、(ハ…

靖国 YASUKUNI ('07)  李纓  <強引な映像の、強引な継ぎ接ぎによる、殆ど遣っ付け仕事の悲惨>

1 記録映画作家としての力量の脆弱さ 人の心は面白いものである。 自分の生活世界と無縁な辺りで、それが明瞭に日常性と切れた分だけ新鮮な情報的価値を持ち、且つ、そこに多分にアナクロ的な観劇的要素が含まれているのを感覚的に捕捉してしまうと、「よく…