2014-01-04から1日間の記事一覧

ローマの休日(‘53) ウィリアム・ワイラー  <「越えられない距離」にある男女の「自由の使い方」の最高表現力>

1 「越えられない距離」にある男女の「自由の使い方」の最高表現力 「スクリューボール・コメディ」(戦前のロマンティック・コメディ)の代表作とされる、フランク・キャプラ監督の「或る夜の出来事」(1934年製作)と並んで、ラブコメディの最高到達…

青の炎(‘03)  蜷川幸雄<臨界状況を疾走する少年の内的宇宙>

1 「青の炎」の消炎の思いを乗せたロードレーサーの駆動の果てに 徹頭徹尾、映画的空間の中で切り取られた物語の芯にあるのは、何者にも頼らず、能力的に限定的な思考プロセスの中で、トライアンドエラー(試行錯誤)を繰り返しながら、そこで得たベストな…

羊たちの沈黙('91) ジョナサン・デミ <「羊の鳴き声」を消し去る者の運命的自己投企―― 或いは、「超人格的な存在体」としての「絶対悪」>

1 「構成力」と「主題性」、「娯楽性」、「サスペンス性」がクリアされた一級のサイコ・サスペンス 「The Silence Of Lambs」 これが、本作の原題である。 和訳すると、「羊たちの沈黙」。 この謎に満ちた原題を持つ鮮烈なサイコ・サスペンスは、立場が異な…