2014-01-11から1日間の記事一覧

鍵泥棒のメソッド(‘12) 内田けんじ <完璧に伏線を回収する構成力と人物造形力に成就した、完成形のエンタメムービー>

1 完璧に伏線を回収する構成力と人物造形力に成就した、完成形のエンタメムービー ほぼ完成形のエンタメムービー。 面白過ぎて、快哉を叫びたいほどだった。 完璧に伏線を回収する構成力と人物造形力、演じる俳優たちの完璧な表現力。 近年の邦画で、これを…

アフタースクール('08)  内田けんじ <狭隘なるラベリング思考から抜け切れない男への情感炸裂>

Ⅰ 「予定調和の逆転劇」の効果を高める伏線としての「対立構図」 本作がミステリー・ヒューマンドラマとして観るとき、とても精緻に構築された映画であることは間違いない。 「予定調和の逆転劇」という軟着点を前提化しているように見えるので、ミステリー…

運命じゃない人('04) 内田けんじ<類稀なるパーソナリティの給温効果を持つ、「全身誠実居士」のラブストーリーという物語の基本骨格>

1 〈状況〉に投入された主体の感情や行為の無秩序な集合という、様々に交叉する人間学的事象の構造 本作が、かつて、そこに張り付いていたであろう幾許(いくばく)かの付加価値が脱色され、差別化特性を失うことでコモディティ化されつつも、なお文化的継…