境界を超えていく芸術表現の仮想体験

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1  映像批評の規範性
 

映像が提示したものを、観る者は想像力を駆使して読み解いていく。
 

映像が提示したものと、提示されたものについて想像力を駆使する者が、観念の世界で結ぶ幻想の中枢を「批評の前線」と呼んでもいい。

 

「批評の前線」にあって、想像力を駆使する者の読解の「かたち」は、件の者の感性・知性・経験則を含む「マインドセット」(経験・教育・先入観などから形成される思考様式)の性格に大きく関与するだろう。

 

しかし、それはどこまでも、映像が提示したものの範疇において、「批評の前線」が形成されるという暗黙のルールを保持する限りである。

 
無論、そこで形成される「批評の前線」の可能性は、直接的に絵柄の提示を媒介することのない「映像性」の排除を意味しない。
 

「映像性」が内包する「含み」を、観る者がどのように把握し、受容していくかによって、様々に伸ばされた批評の稜線が存在することをも排除しないのだ。

 
だから、観る者は映像が提示したものを、いかようにでも解釈することが可能となる。
 
それが、「映像批評の規範性」であると言っていい。
 
映画を解釈するに当って、私は以上の文脈を問題意識のコアにすることを大切にしている。
 
  

心の風景  「境界を超えていく芸術表現の仮想体験」よりhttp://www.freezilx2g.com/2018/06/blog-post_25.html