2011-01-27から1日間の記事一覧

他人の不幸は自分の幸福

私たちの大衆消費社会の中では、「他人の幸福は自分の不幸」であり、「他人の不幸は自分の幸福」である。 かつての地域共同体社会では、あらゆる面で人々の近接度が極めて高く、隣人の不幸が我が家の不幸になりやすかったから、そこに否応なく仲間意識が生ま…

嘆きの天使('30) ジョセフ・フォン・スタンバーグ <「予約された残酷さ」―― 異文化侵入が破綻して>

港町として名高い、ハンブルグにあるギムナジウム(ドイツの中等教育機関で、大学進学を目的とする)。 そこに、一人の初老の教授がいる。その名はラート。とても厳格な英語教師である。 その日も彼は、表面的には静寂な教室で教鞭を執っていた。 その彼が、…

ノーマンズ・ランド('01) ダニス・タノヴィッチ <〈状況〉が分娩した憎悪の鋭角的衝突を相対化した男の視座のうちに>

二つの戦争暴力が最近接しながら、セルビア兵とボスニア兵が存在することによって、辛うじて維持されている〈生〉。 しかしそれは、「ノー・マンズ・ランド」(ボスニアとセルビアの中間地帯)という名の、戦争暴力が直接的に交叉する最前線であるが故に、〈…