2011-02-20から1日間の記事一覧

偽れる盛装('51) 吉村公三郎 <浮薄な感傷を突き抜けた、「世界を分ける踏切」の構図という主題提起力>

1 「男に踏まれても、それを跳ね返す女の強さ」を身体表現する、京マチ子の圧倒的存在感 邦画界の狭隘な縛りを抜けて、作家的主体性を貫徹するために松竹を退社した新藤兼人が、吉村公三郎らと作った「近代映画協会」の第一回作品である本作は、男の欲望の…

不良少女モニカ('53) イングマール・ベルイマン <自我の未成熟な女の変わらなさを描き切った圧倒的な凄味>

1 「青春の海」の求心力 ―― プロットライン① 陶磁器配達の仕事に追われる一人の若者がいる。 彼の名は、ハリー。 彼は奔放な我がまま娘と出会うことで、その生活に変化を来たしていく。 彼女の名は、モニカ。このとき、17歳だった。 純粋な青年、ハリーと…

マイ・レフトフット('89) ジム・シェリダン <直球勝負の自己投入をする男 ―― 自死への際どい「前線」での「勝負」の中で>

「生まれながらの重度の脳性小児麻痺により、左足が少し動かせるだけで、後は植物人間同様の生活を余儀なくされている不遇の主人公が、その絶え間ざる努力の末、やがて言語能力を取り戻し、わずかに動く左足を使い絵を描けるようになるまで成長していく姿を…